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2009年9月13日 (日)

新司解説書籍の使い方

新司法試験も4回目となり,解析・解説する書籍が増えてきたように思います。
ポケット六法 平成22年版(有斐閣,2009)
新司法試験の問題と解説 2009 (別冊法学セミナーNo.200)

しかし,こうした書籍を用いる際には,目的を見失わないことが大切です。

つまり,我々の目的は,時間内にしっかり記述することです。
時間内にしっかり記述できない事柄は,その問題においては,意味がないのです。

例えば,平成21年度の憲法設問1の解説で,大要,

規則の違憲と,中止命令の違憲とのいずれを重視するかは難しい

とするものがあります。
しかし,憲法設問1で,規則の違憲を持ち出すこと自体,誤りです。
この解説の「解答例」では,規則の違憲の具体的主張内容として,

1.学問の自由の制限は法律によってのみ許される と,
2.規則8条の内容が不明確

とを挙げていますが,このような主張が認められる可能性はないと思います。
実際に,この解説の「結論」も,これらの主張を認めていません。
(そればかりか,「2.」については,「結論」で触れてさえいません。
主張がかみ合っておらず,これはこれで非常に問題です。)

ですから,重視すべきものが命令の違憲であることは明白です。
そして,通る見込みのない主張を書いている暇はありません。
通る見込みのある主張に,全力を尽くすのです。

思いついたものを全部書こうという考え方は,欲張りです。
欲張りをしていると,当てはめをする時間がなくなってしまいます。

当てはめをしない抽象論では,事案が解決しないのです。
事案を解決できなければ,目の前のお客さんを救えません。
ですから,そんな考え方は捨てましょう。

 

それでもやっぱり全部書かないと不安だ,という方は,
 平成20年度新司法試験考査委員(公法系科目)に対するヒアリングの概要
を,もう一度お読みください。

理論的に考えられる論点全部を拾わないと答案の評価が低くなるものとは,毛頭考えていない。
自分の視点に基づいて,幾つかの重要なものを取り上げて,自分なりに論じてあればよいのであって,あらゆる論点全部について均等に少しずつ触れてほしいなどとは全く考えていない。
論点を考えられる限りたくさん挙げれば良い評価になると思っているのか,重要でないものも含めて思い付く限りのあらゆる論点を挙げて,その結果,どれもこれも希薄に書いてしまっている答案も相当な数あった。
もっとも,幾つかの些末な問題点を挙げるだけで,重要な問題点を指摘していないものもあった。
この事案で何を議論の中心に持っていくかの判断も,実務家として重要なセンスの一つであると思う。

 

原告の主張について,被告・自説で触れない起案の評価については,
 平成20年新司法試験の採点実感等に関する意見(憲法) 
を,もう一度お読みください。

設問1で挙げた論点について設問2で全く触れていないものも,不適切である。

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