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2009年7月 9日 (木)

最決平成21年7月7日児童ポルノ提供・同提供目的所持の罪数関係等

児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律23項にいう児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,同法74項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。

児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,他のわいせつ物である物も含め,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的所持した場合,わいせつ物販売と同販売目的所持包括して一罪を構成すると認められるときには,全体一罪となる。

主文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中210日を第1審判決の懲役刑に算入する。

理由

弁護人奥村徹の上告趣意のうち,福岡高那覇支H170301を引用しての判例違反及び東京高H171226を引用しての判例違反をいう点は,いずれも原判決ないし引用の判例が所論のような趣旨を示したものではないから前提を欠き,
東京高H150604[児童ポルノである元の画像データを一部加工した画像データをCD-Rに記録して販売した事案において,元の加増データをバックアップ用に記録したMOを所持することが児童ポルノ販売目的所持罪及びわいせつ図画販売目的所持罪に該当するとした事例]及び大阪高H200417を引用しての判例違反をいう点は,罪数判断に関して被告人にとり不利益な主張をするもので不適法であり,
その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。

なお,所論にかんがみ,本件第1審判示第3の罪に関する第1審の訴因変更手続の当否につき職権により判断する。

1 …(1) 本件第1審判示第3の罪に関する当初の公訴事実の概要は,「被告人は,前後11回にわたり,3名の者に対し,児童ポルノでありわいせつ図画であるDVD-R合計11枚及びわいせつ図画であるDVD-R合計25枚を不特定又は多数の者に販売して提供した。」というものであった。

(2) 次に,検察官は,(1)の提供行為を維持したままで,さらに5回の提供行為を追加し,「被告人は,前後16回にわたり,4名の者に対し,児童ポルノでありわいせつ図画であるDVD-R合計21枚及びわいせつ図画であるDVD-R合計67枚を不特定又は多数の者に販売して提供した。」とする訴因変更を請求し,第1審裁判所はこれを許可した。

(3) さらに,検察官は,(2)の提供行為を維持したままで,所持行為を追加し,「被告人は,() 前後16回にわたり,4名の者に対し,児童ポルノでありわいせつ図画であるDVD-R合計21枚及びわいせつ図画であるDVD-R合計67枚を不特定又は多数の者に販売して提供し,() 自宅において,児童ポルノでありわいせつ図画であるDVD-R合計20枚及びわいせつ図画であるDVD-R合計136枚を不特定若しくは多数の者に提供又は販売する目的で所持した。」とする訴因変更を請求し,第1審裁判所は,これを許可した上,最終的にそのとおりの事実を認定した。

2 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律23項にいう児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合には,児童の権利擁護しようとする同法の立法趣旨に照らし,同法74項の児童ポルノ 提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にあると解される。しかし,
児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,他のわいせつ物である物も含め,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的所持したという本件のような場合においては,わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成すると認められるところ,
その一部であるわいせつ物販売と児童ポルノ提供,同じくわいせつ物販売目的所持児童ポルノ提供目的所持は,それぞれ社会的,自然的事象としては同一の行為であって観念的競合の関係に立つから,結局以上の全体一罪となる…。所論は,児童ポルノ提供罪と同提供目的所持罪とが本来併合罪の関係にある以上,そのように解するのは相当でない旨いうが,採用できない。

3 したがって,…第1審の訴因変更手続に違法はない…。

 

「東京高H150604及び大阪高H200417を引用しての判例違反をいう点は,罪数判断に関して被告人にとり不利益な主張をするもので不適法」
という部分は,被告人側の主張なのに,被告人にとって不利益となるものであるから不適法,とするものですね。気をつけたいものです。

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