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2009年7月 2日 (木)

最判平成21年6月29日-窃盗罪の成立範囲

パチスロ店内で,パチスロ機に針金を差し込んで誤動作させるなどの方法によりメダルを窃取した者の共同正犯である者が,上記犯行を隠ぺいする目的をもって,その隣のパチスロ機において,自ら通常の方法により遊戯していた場合,この通常の遊戯方法により取得したメダルについては,窃盗罪は成立しない。

刑事事実認定入門

1 … (1) 被告人,A及び氏名不詳者は,共謀の上,針金を使用して回胴式遊技機(通称パチスロ遊技機)からメダルを窃取する目的で,いわゆるパチスロ店に侵入し,Aが,同店に設置された回胴式遊技機1080番台において,所携の針金を差し込んで誤動作させるなどの方法(以下「ゴト行為」という。)により,メダルを取得した。

(2) 他方,被告人は,専ら店内の防犯カメラや店員による監視からAのゴト行為を隠ぺいする目的をもって,1080番台の左隣の1078番台において,通常の方法により遊戯していたものであり,被告人は,この通常の遊戯方法により,メダルを取得した。被告人は,自らが取得したメダルとAがゴト行為により取得したメダルとを併せて換金し,A及び換金役を担当する氏名不詳者と共に,3等分して分配する予定であった。

(3) 被告人らの犯行が発覚した時点において,Aの座っていた1080番台の下皿には72枚のメダルが入っており,これは,すべてAがゴト行為により取得したものであった。他方,1078番台に座っていた被告人の太ももの上のドル箱には,414枚のメダルが入っており,これは,被告人が通常の遊戯方法により取得したメダルと,Aがゴト行為により取得したメダルとが混在したものであった。

2 原判決は,以上の事実関係を前提に,被告人の遊戯行為も本件犯行の一部となっているものと評することができ,被害店舗においてそのメダル取得を容認していないことが明らかであるとして,被告人の取得したメダルも本件窃盗の被害品ということができ,前記下皿内及びドル箱内のメダルを合計した486枚のメダル全部について窃盗罪が成立する旨判示した。

3 しかしながら,以上の事実関係の下においては,Aがゴト行為により取得したメダルについて窃盗罪が成立し,被告人もその共同正犯であったということはできるものの,被告人自ら取得したメダルについては,被害店舗が容認している通常の遊戯方法により取得したものであるから,窃盗罪成立するとはいえない。そうすると,被告人が通常の遊戯方法により取得したメダルとAがゴト行為により取得したメダルとが混在した前記ドル箱内のメダル414枚全体について窃盗罪が成立するとした原判決は,窃盗罪における占有侵害に関する法令の解釈適用を誤り,ひいては事実を誤認したものであり,本件において窃盗罪成立する範囲は,前記下皿内のメダル72のほか,前記ドル箱内のメダル414枚の一部にとどまる…

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