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2009年6月25日 (木)

自主ゼミの功罪

学生たちが自主的に運営するゼミ,いわゆる自主ゼミに対する評価は,人それぞれのようです。
事例から刑法を考える (法学教室Library)
事例研究 行政法
行政法事例演習教材
事例演習民事訴訟法 (法学教室Library)
事例研究 民事法
民法総合・事例演習 第2版

グレイトフルデッド「ゼミは人のためならず」
http://g-dead.seesaa.net/article/121113220.html

他の方から,

自らが時間を掛けて積み上げてきた物を、易々と他者へ譲り渡すことは損である

といわれたことがあるとありますが,そういうように思われる方もいるのですね。
しかし,結論からいえば,この見解は,2つの観点で誤りだと私は思います。

1つ目は,自分が積み上げたものを他人に渡すことはそもそも無理,ということです。
例えば,刑法上の因果関係の規範について,

構成要件が違法類型であると共に有責類型でもあることから,その判断事情には,行為当時,一般人が認識しえた事情と共に,行為者が特に認識していた事情をも含む

という定立をすることができると思いますが,仮にこれを短縮して,

構成要件は違法・有責類型であるから,その判断事情は,行為当時,一般人が認識しえた事情と行為者が特に認識していた事情となる

と定立することは,因果関係の存否が問われる事案においては,私は,誤りとはいえないとしても,あまりよくないことだと思います。

この辺りの言い回しの感覚は,まさに「自分が積み上げたもの」であって,説明しようと思えば説明することはできるのですが,なかなか複数のメンバーのいるゼミの会話の中では伝わらないものなのかな,と思います。
この感覚を共有できる方は,仮に短縮して定立するとしても,たぶん,当てはめやそれ以外の部分で,この言い回しの感覚について補正していると思うので,説明するまでもないのですが,共有できない方には,いくら説明しても納得してもらえないもののような気がします。

 

2つ目は,仮に渡すことができるとしても,それは,有害ではなく,有益なものである,ということです。
それは,上記ページに記述されているように,ゼミを主催することは,

勉強のペースを作る。
そして、前の晩に予習する。ゼミで話す。質問を受ける。という一連の流れで理解が深まり、記憶が強化される。

という効果があると私も思います。
主催しようと思えば,たいてい,恥をかきたくないという思いから,ていねいに勉強することとなると思います。
そして,それを他人に分かりやすく説明しようとすることで,表現・叙述の過程を経て,自分の中で腑に落ちた理解に至ると思います。

こうした過程は,主宰者だけが得られる特権です。

 

とはいえ,ゼミにだけ注力するのも危険なことです。

利用は計画的にしないといけませんね。

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